2007年医療福祉建築賞
フロイデ彦島
所在地 | 山口県下関市彦島西山町3-12-1 |
定員 | ケアハウス50名、グループホーム18名 デイサービスセンター20名 |
延床面積 | 4,895㎡ |
竣工年月 | 2005年9月 |
開設者 | 社会福祉法人松涛会 |
管理者 | 社会福祉法人松涛会 |
設計者 | 大野秀敏+吉田明弘/APLdw |
施工者 | 大成建設㈱ |
写真撮影 | アーキフォト 北嶋俊治 |
【選評】
高齢者の住まいに対する理事長の強い思い入れとこだわり,それに設計者の情熱が絡み合い産み出した秀作である.
各ユニットは9室から成り,赤い壁が印象的な中庭とそれL型に面する共用部分(ダイニング・談話室),さらにその外側の海を望む個室群とで構成されている.中庭を囲む共用部分と個室との繋がりや,中庭と海からの光がもたらす明るい雰囲気,洗練された各部デザインは秀逸である.共用部分から中庭を通して人の行き来が見える様子や,海を望むリビング,エレベーターホールは設計意図に掲げた「人と自然の気配が感じられる空間構成」を具現化する.玄関横の喫茶を兼ねた連絡通路はじめ各所からスペース的なゆとりと明るさが,置かれた小物等からは家庭的な温かみが感じられ,入居者に笑顔と活力を与えている.壁柱構造により全体的な造りがヒューマンスケールであることも高齢者の住まいとして好ましい.洗練された空間に,入居者がとまどいを感じるかとの危惧は,諸処に見られる家庭的な暖かみ,運営者の話や入居者の表情から払拭された.