2011年医療福祉建築賞
総合病院 南生協病院
所在地 | 愛知県名古屋市緑区大高町字平子36 |
病床数 | 313床 |
延床面積 | 29,388㎡ |
竣工年月 | 2010年3月 |
開設者 | 南医療生活協同組合 |
管理者 | 南医療生活協同組合 |
設計者 | ㈱日建設計 |
施工者 | ㈱竹中工務店 |
写真撮影 | ㈱エスエス名古屋 |
【選評】
6万人を超える組合員を持つ実績ある医療生協の基幹病院の移転建て替えである.313 床の病院であるが,45 回延6千人近くの会員が参加した「千人会議」を通して計画が進められた.これらを受けて建築的にもきめ細かく設計されている.
敷地が新しいJR 駅の近くであり,病院内を通過する通勤動線の確保と,その周りにフィットネスセンター・各種保育所・オーガニックレストラン・多世代交流館の配置など,駅前のまちづくりに大きく貢献しているとともに,健康と生活を支える施設づくりになっている.夜11 時近くまで開放し運営的にも当初の主旨が良く実現されている.予約診療中心の外来待合・受付を分節化させることで病院にありがちな大待合空間を避け,駅前の開放されたホールを実現している.これは「病院が街になる」というコンセプトで表現されているが,病院建築に新しい空間づくりを実現したと高く評価される.また,医療生協という組織でありながら56%の個室率の確保が「千人会議」を経て決定され,建築的にもベッド間隔を充分に取るなど質の高い療養環境を提供している.
また,分かりやすく2桁の数字でサインを完結させるなど随所にきめ細かい工夫が見られる.これらは,利用者・運営者・設計者の綿密なコラボレーションにより実現できたと認められる.新しい病院計画のプロセスと共に,それに応えた設計者の力量に敬意を表したい.