2011年医療福祉建築賞
地方独立行政法人 岐阜県立多治見病院 新病棟
所在地 | 岐阜県多治見市前畑5-161 |
病床数 | 460床 |
延床面積 | 27,012㎡ |
竣工年月 | 2010年2月 |
開設者 | 地方独立行政法人 岐阜県立多治見病院 |
管理者 | 地方独立行政法人 岐阜県立多治見病院 |
設計者 | 共同建築設計事務所・熊谷設計特別共同企業体 |
施工者 | 安藤・内藤・飯田特定建設工事共同企業体 |
写真撮影 | 小羽写真事務所 小羽弘幸 |
【選評】
627 床の県立病院の内,460 床の病棟部分を中心に改築した計画である(竣工時は独立行政法人でなかった).今回応募作品の中でも唯一の部分改築の事例であったが,これからは重要な計画要件となることが予想される.
病院側としては2期に渡る整備計画であったが,プロポーザルで1期の整備を提案し,整備期間を短縮したことも評価されての設計者決定と思われる.設計者の提案として,個室率の向上,居場所の多様化,看護拠点の分散化と物品搬入と管理の配慮,可変性のある病棟計画等々,様々な提案がなされ,しかも病院側との密接なコミュニケーションを経て,相互に納得してきめ細かく実現されている.これらのプロセスについて病院側からも高く評価されている様子を感じることができた.緩和ケア病棟周りなどの多様な居場所づくり,ボランティアによる植栽等の手入れ・管理の充実が特筆される.急性期病院にどれだけ必要かという議論もあろうが患者の多様な居場所の実現等建築的提案にも新鮮さがある.地元産材を多用し,丁寧に計画された質の高い詳細設計による優れた療養環境の実現に敬意を表したい.与えられた条件を満たすだけでなく,それ以上の環境を積極的に実現していると感じさせる作品である.
今後,外来棟,中央診療棟などを整備していくことになろうが今回の計画をいかに止揚して行われるか注目していきたい.