2011年医療福祉建築賞

東京都立多摩総合医療センター・東京都立小児総合医療センター

東京都立多摩総合医療センター・東京都立小児総合医療センター

所在地 東京都府中市武蔵台2-8-29
病床数 多摩総合:789床 小児総合:561床
延床面積 129,879㎡
竣工年月 2009年9月
開設者 東京都
管理者 東京都
PFI管理者 多摩医療PFI㈱
設計者 ㈱日建設計
施工者 清水建設㈱
写真撮影 篠澤建築写真事務所
【選評】

 都立府中病院の建て替えと都立3小児病院を2病院(合計1,350 床)として合築するという巨大な計画であり,しかもPFI という手法で整備するという前例のない事業である.大規模で,急性期,小児,小児精神という機能を一体化し,ホスピタルモールやルーフコートを中心に分かりやすくまとめた手腕は高く評価された.さらにプレファブ化構法などで厳しい工期・諸条件を解決したのはPFI ならではという特徴も見出される.公立病院として救急・小児・周産期・災害医療等の充実にも特徴が良く反映されている.特にパンデミックス対応フロアの設置などは,メンテナンスの大変さを超えて実現しているのは特筆すべき計画であろう.
 建築的には動線計画・メリハリのある形態等の全体構成の巧みさとともに,「森のホスピタル」のコンセプトの下に小児に対するアメニティ豊かな各種デザイン的配慮や屋上緑化など環境対策にもきめ細かい配慮が見られた.2病院が連携あるいは統合が可能な中央診療部の配置などにも相応の工夫が見られる.また,東日本大震災以降の計画停電などで両病院とSPC の信頼関係が格段に深まるなど新しい運営の方法についても特徴がある.15 年(SPC の契約期間)後の運営が発展的にどう引き継がれていくかも注目されるところである.