2013年医療福祉建築賞

伊勢赤十字病院

伊勢赤十字病院

所在地 三重県伊勢市船江1-471-2
病床数 655床
延床面積 56,587 ㎡
竣工年月 2011年8月
開設者 日本赤十字社 三重県支部
管理者 伊勢赤十字病院
設計者 ㈱日本設計
施工者 ㈱竹中工務店
【選評】

 「お伊勢さま」を見下ろすような高い建物は避けるという暗黙のルールを尊重し,伊勢赤十字病院は広大な敷地に5階建て651 床の新病院を竣工させた.
 病棟は1病棟35 床で,1フロア8病棟の3層構成だが,2つのスタッフステーションが隣接し1フロア4看護単位のイメージに近い.正方形の外周に病室を配した計画は古典的だが,審査員を驚かせたのは,正方形の中心部に設けられた吹き抜けにあるスタッフ専用の広い空間.病院長に「実際に出来上がって,あまりの広さに驚いた」と言わせたほどのスペースだが,この空間をオープンカンファレンスと名付けて,職種を超えた多種多様な情報交換や連絡・調整,学びの場として大いに活用している.
 オープンカンファレンスも含め,スタッフと患者・家族の動線分離を建物全体で細部にまで徹底させ,患者・家族の接触や視線からの「on・off 」の切り替えをスムーズにし,スタッフに優しい空間を実現している.多職種によるチーム医療ならびに専門職の学習環境のあり方について,今後の病院建築にインパクトを与える作品である.「山田赤十字病院」から「伊勢赤十字病院」に改称し,新たな歴史の第一歩を踏み出した.