2013年医療福祉建築賞
聖路加産科クリニック
所在地 | 東京都中央区明石町1-24 |
病床数 | 19床 |
延床面積 | 1,724 ㎡ |
竣工年月 | 2010年5月 |
開設者 | 一般財団法人 聖路加国際メディカルセンター |
管理者 | 一般財団法人 聖路加国際メディカルセンター 聖路加産科クリニック |
設計者 | 清水建設㈱ 一級建築士事務所 |
施工者 | 清水建設㈱ |
【選評】
自然分娩に特化した産科診療所で,聖路加国際病院が運営する.高層マンションの建設ラッシュで周辺人口が急増し,75%の妊婦が区内で出産できない事態となり,この改善も目途の一つである.敷地は病院の隣接地で,オフィスビルやマンションに囲まれているが,巧みな空間構成により温かみと親密感のある建物となっている.
建物の正面のデザインは2階建ての家をふたつ重ねた形態で,2層毎に設けられたテラスと木格子が穏やかな表情を見せる.2層で1ユニットの構成は,運営システムとも連動しており,形態に必然性と大らかさが感じられる.基準フロアは個室4室,分娩室,畳コーナー,ラウンジで構成され,小規模で家庭的な雰囲気となっている.分娩室には分娩台はなく,寛いだ雰囲気のなかで様々な分娩姿勢に対応できるしつらえを備えている.ラウンジの木格子は細めの桟で上品にデザインされ,外部への開放感がある.自然採光を穏やかに取り込む共有空間の構成と仕上げは秀逸で,適度に陰翳がある照明計画も評価される.
産褥期の養生を目的としたオプショナル・ステイや,助産師のキャリア教育にも取り組み,妊娠・分娩・育児期を支援する新たなモデルとしても期待される.