2008年医療福祉建築賞
公立阿伎留医療センター
所在地 | 東京都あきる野市引田78-1 |
病床数 | 310床 |
延床面積 | 28,314㎡ |
竣工年月 | 2006年3月 |
開設者 | 阿伎留病院組合 |
管理者 | 阿伎留病院組合 |
設計者 | ㈱久米設計 |
施工者 | 清水・東急・清水組・五光・クリエート特定建設工事共同企業体 |
写真撮影 | SS東京 |
【選評】
西多摩地区に位置し,道路整備による診療圏の広がりで,量的・質的なニーズの拡大が見込まれる自治体病院である.
施設全体にわたり開口部を大きくして自然光をふんだんに取り入れることで,明るく閉塞感のない療養空間を実現している.場所に応じた照明デザインや照明を用いたアメニティの設置等,光の使い方に工夫がされ優しい空間である.地階も自然光をふんだんに取りいれる工夫をほどこし,リハビリテーションや人工透析の患者への思いやりが感じられた.また,緑を配する取り組みはもちろん,周辺環境を積極的に活用し,自然豊かな療養環境を達成している.
外来部分においては,先進的なつくりの中に,自然を連想させる色合いを取り入れることにより,新しくも冷たい感じを与えない空間としている.適度に分割し部分的閉鎖性を持たせた待合空間は,患者のプライバシー・安息の確保と医療者による見守りを両立させる空間として機能を果たしている.病棟は奇をてらわず堅実なつくりであり,療養空間としてもワークスペースとしてもゆとりと実用性が感じられた.全体的に建物空間にはまだ余力があるように見え,自治体病院としての更なる発展が期待される病院といえよう.