2019年医療福祉建築賞
あぶくま更生園《準賞》
所在地 | 福島県田村市船引町船引字四斗蒔田 69-1 |
病床数 | 50名(短期入所者含む) |
延床面積 | 2,765 ㎡ |
竣工年月 | 2015年4月 |
開設者 | 社会福祉法人 福島県福祉事業協会 |
管理者 | 社会福祉法人 福島県福祉事業協会 |
設計者 | ㈱シーラカンスアンドアソシエイツ |
施工者 | 鹿島建設㈱東北支店 |
写真撮影 | 上田宏 |
【選評】
重度の知的障がい者が暮らす本施設は,3.11の原発事故により避難を余儀なくされたが,4年後,新天地で再開された.災害復旧事業ではあったが,面積を拡張させ,利用者の高齢化・重度化にも対応できるよう,新時代に向けた施設計画を目指した.「コネクティング・ホール・システム」 と名づけられた個室からパブリックリビングまで緩やかに連続的につながる平面構成,木造・木質化により温かみを与える空間づくり,見守りとコミュニケーションに適した 個室のつくり方,山並みに呼応する切り妻屋根の重なりなど,個性を持った質の高い建築空間が創出されている.「型」 を持たない障がい者施設計画では,その解が見い出しにくく計画の難しさもあるが,障がい特性にあわせた空間を提案している.空間が利用者の自立を促し,個性を発揮した生活・行動を支えることを示し,障がい者施設計画へのヒントと可能性を提示した.震災という不幸な出来事をきっかけにしながらも,従来の施設と全く異なる思想のもとでの施設計画を目指し,障がい者施設のあるべき姿を求めてプロポーザルコンペを実施した法人の想いとその企画,それに応えた意匠性に優れた建築提案は高く評価できる.