2019年医療福祉建築賞

兵庫県立こども病院

兵庫県立こども病院

 

所在地 兵庫県神戸市中央区港島南町 1-6-7
延床面積 41,324 ㎡
竣工年月 2016年1月
開設者 兵庫県
管理者 兵庫県
設計者 ㈱内藤建築事務所、兵庫県県土整備部住宅建築局営繕課・設備課
施工者 大林・鴻池・大鉄JV
写真撮影 ㈱伸和
【選評】

隣接する公園から玄関,ホール,外来へと歩を進めるにつれて先入観としてある「こども病院らしさ」の印象が薄いことに気づく.対象年齢は,ハイリスク妊婦の胎児,0~14歳児,キャリーオーバーまで幅広い.極低出生体重,小児がん,緩和ケア,救命救急などの高度医療を県全域カバーする「最後の砦」では,辛い告知や厳しい結果が日常である.「こどもを支える親,特に母親を支え癒すことが最も重要である」という医療者の強い想いを設計者と共有し,対話を重ね丁寧に創り込んだプロセスが随所に活きている.優しく淡い色調に抑制された内装デザインは高度な緊張を強いられる医療者も癒す.こどもと保育士の合作による装飾は抑制的な院内では一層効果的である.血液腫瘍のこどもをクリーンカーテン生活から解放するクリーンルーム化した病棟,病室の間近での打ち合わせに配慮したカウンターの高さ,海が遠望できる面談(告知)室,緊張を和らげる手術待合室など医療者の想いを具現化している.開院後も医療者と設計者がともに使われ方を検証しながら「微調整」できる関係は変化・成長する病院にとって一つの理想像であると高く評価できる.