2019年医療福祉建築賞

TSURUMIこどもホスピス

TSURUMIこどもホスピス

 

所在地 大阪府大阪市鶴見区浜1-1-77
延床面積 979 ㎡
竣工年月 2015年12月
開設者 公益社団法人 こどものホスピスプロジェクト
管理者 公益社団法人 こどものホスピスプロジェクト
設計者 大成建設㈱一級建築士事務所
施工者 大成建設㈱関西支店
写真撮影 新建築社写真部
【選評】

早期の死が免れない,あるいは完治が望み難い重篤な病気を患う子どもたちが,家庭では実現できない子どもらしい生活,たとえば,チューブをつけたままの水遊びや,親や兄弟と一緒の入浴,一部屋での雑魚寝などができる施設である.ここでは医療行為は行われないし,何を提供するかは患者の願望と体調次第である.しかし,既存の医療あるいは福祉制度では提供することが難しいが,それがあることによって子どもたちの生を確実に豊かにするサポートが得られる.運営は全額寄付により,利用は無償である.そのような運営形態もこれからの日本でどう根付くのか大きなチャレンジである.世界で最初の子どもホスピスである「ヘレン&ダグラスハウス」の創始者シスターフランシスに感化されて,代表理事自身が構想し,実現に向けて奔走した.建築はわかりやすい空間構成と親みやすい仕上げ材料選択や適切なディテール処理によって施設の意義を的確に表明している.加えて,各室のピクトグラムやサイン,カーテンや遊具なども日本を代表するデザイナーたちにより,誰にでも優しい環境が出現している.豊かな社会的構想力と的確なデザインの幸福な出会いがここにある.