2021年医療福祉建築賞

高知赤十字病院

高知赤十字病院

 

所在地 高知県高知市秦南町1-4-63-11
延床面積 32,849 ㎡
竣工年月 2019年3月
開設者 日本赤十字社
管理者 高知赤十字病院
設計者 久米設計・ASA設計事務所設計共同体
施工者 大林・和特定建設工事共同企業体
写真撮影 ㈱エスエス大阪
【選評】

超高齢・人口減少という条件下で,急性期・災害対応の医療機能を継続することが当計画の最大の課題であった.そのため「対収益面積効率」の最大化が建設費用と維持管理費用の低減に直結する,という強い覚悟を医療者と設計者が共有して約80 ㎡/床というコンパクトな病院を実現させた.
 一方で職員確保のための魅力ある職場環境の実現という,ともすれば相反する課題をもきめ細かな検討と十分な納得を経て課題解決に至っている.医局,医事,看護部を仕切りのない大部屋に計画することで将来の可変性を確保し,職員が実感できるコミュニケーションの活性化をも両立させた.また災害時の拠点となる講堂や,食事,ミーティング,休憩など多目的且つ一体的に利用できる職員専用スペースを外光豊かな場所に確保し,洗練された内装デザインも相まって,職場環境の向上とコンパクトな計画を両立している.
 院長以下経営幹部が月々のエネルギー消費実績を確認しながら.全職員と「納得できる」省エネ運営を実践されている姿は,BEMS の真価を示すとともにカーボンニュートラルの時代に向けた先進的な病院運営を提示している.地元消防局との併設という地の利を得て,地方の医療機能継続を実現する優良モデルケースの1つとして高く評価する.