2022年医療福祉建築賞
デイサービスセンター 下石の通い所
所在地 | 岐阜県土岐市下石町910-1 |
延床面積 | 500 ㎡ |
竣工年月 | 2020年2月 |
開設者 | ㈱YUKAIGO |
管理者 | ㈱YUKAIGO |
設計者 | ㈱ほとり建築事務所+Uo.A |
施工者 | 澤崎建設㈱ |
写真撮影 | 鈴木研一 |
【選評】
空間的な連続性を確保しつつ,小規模な居場所をつくり出す好事例であり,特に中央配置の厨房が,曖昧な領域を生み出し,デザイン・運営面ともに完成度の高い内容である.法人代表は大規模病院のER やICU で勤務経験がある看護師で,大病院では在宅の姿が見えにくいと介護事業を始めたとのことである.建築上の特徴は,①ガラス張りの外観,②複雑な構造体により構成された内観,③多様な居場所をつくる空間構成の3点である.ガラス張りは,開かれた施設を目指すという法人代表の思いから実現した.
外から中が見えることにより認知度が高まることで利用者の募集にも貢献し,計画時は収益が出るまで1年を見込んでいたが,半年で達成している.内観のデザインについては,開放的でありながらも広すぎない適度な広がりを持つ.
職員の家族は「美容室のよう」と評しており,職員のモチベーション維持にも繋がっている.離職者も少なく,職員確保に「建築の力は大きい」と管理者は述べている.多様な居場所については,計画通りに各コーナーで利用者が思い思いに過ごしていた.構造体である壁により空間が適度に分節され,特に個人活動を尊重したい男性に人気という.
つくり込まれた空間の持つ力がスタッフや利用者を変化させている点が,建築の可能性を改めて示している.