2022年医療福祉建築賞
山梨県子どものこころサポートプラザ
所在地 | 山梨県甲府市住吉2-1-17 |
延床面積 | 6,811 ㎡ |
竣工年月 | 2020年3月 |
開設者 | 山梨県 |
管理者 | 山梨県子ども福祉課 |
設計者 | 久米・竜巳設計JV |
施工者 | 1工区:日経工業・井口工業・依田工務店JV 2工区:長田組土木・興龍社・昭和建設JV |
【選評】
児童福祉法に基づく児童相談所のほか,児童精神学の専門医らが診断治療にあたるこころの発達総合支援センター,通所・入所による治療センター,教育委員会の管轄である特別支援学校が,同じ敷地内に整備され,様々な分野の専門家が発達障害を持つ子どもを多角的に支援している.ともすれば行政の管轄も異なり連携がとりにくい施設を,このように集約整備できた意義は大きい.
施設群は,周囲の戸建て住宅街に馴染むように2階以下の低層建物で構成され,中庭を囲むように並んでいる.その中庭にはコテージのような小さな建物が5つ配され,外部空間をヒューマンスケールに分割するとともに,視線が通らないように配置や開口部が工夫されている.子どもの行動特性や治療上の配慮(トラウマを引き起こさない刺激の少ない穏やかな空間)が実現できたのは,設計者が既存施設で数日間過ごして,「ここを利用する子どもたちはどのような環境を必要としているのか」を観察し,熟考した上で計画したからであろう.多くの自治体で手つかずの状態となっている子どものこころの問題を,このような建築を通して実現できたことを高く評価する.