2010年医療福祉建築賞
久留米大学医療センター
所在地 | 福岡県久留米市国分町155-1 |
病床数 | 300床 |
延床面積 | 22,548 ㎡ |
竣工年月 | 2007年4月 |
開設者 | 学校法人久留米大学 |
管理者 | 久留米大学医療センター |
設計者 | ㈱日建設計 |
施工者 | 大和建設㈱:1期,大林組㈱:2期 |
写真撮影 | ㈱伸和 |
【選評】
耳納山に連なる低い山並みに囲まれる地域に建つランドマークとしての建築が美しく,また病室からの景観も素晴らしい.医療機関として機能と療養環境および働く環境への配慮が十分に検討され,患者と職員の双方の満足度が高く完成度も高い施設計画であることが高く評価された.
病棟計画において,スタッフステーションを中心として病室群を配置するモデルは,既にいくつかの型として提案されているが,本作品はその中でも特に優れた解決提案である.現代のナイチンゲール病棟を標榜しているが,そのコンセプトが成功しているように思われる.このことは病室プランについても同様で,4床室の各病床ごとに窓があるタイプであるが,矩形を崩す無理な平面形とせず,素直な平面形であり,充分な快適性を確保しながら,必要なスペースと同時に病室周りのコンパクトさを得ることを達成している.
設計者はプロポーザルによって選ばれたが,その後の設計から運営計画まで,一貫して病院の要望と設計者からの提案が議論され,それらの過程を通じて醸成された設計者への信頼感は厚く,施主の満足度は極めて高い.職員の働きやすさが,質の高い医療・看護サービスを実現し,それが患者の満足度にまでつながる現代の地域医療施設づくりの幸福な事例と言えよう.
平面プランに表れる計画的提案だけでなく,空間の雰囲気,サインデザインなどを含む建築デザインにも魅力が満載で,完成度が高い.