2018年医療福祉建築賞

あたり前の暮らしサポートセンター

 所在地  長野県佐久市布施769 -1
あたり前の暮らしサポートセンター"
延床面積  1,098 ㎡
竣工年月  2016年5月
開設者  社会福祉法人 望月悠玄福祉会
管理者  社会福祉法人 望月悠玄福祉会
設計者  (同)わくわくデザイン
アドバイザー  ケアプロデュース RX 組
施工者  ㈱カネトモ
写真撮影  Nacasa & Partners 中道淳
東京都立川市錦町6-26-17


【選評】

 建築計画と施設の運営方針がよく合致している点が高く評価された.
 一般的に高齢者施設では利用者の安全に配慮して囲い込む傾向が強いが,その程度が過剰であるように思われるものも少なくない.本施設では4棟の建物配置が極めてオープンで,敷地の内外を隔てる塀や門扉などはない.利用者は自由に建物の内外を出入りすることができ,屋外中庭にある畑で簡単な農作業などに従事するように計画,運営されている.また,内部の厨房もオープンで日常的に利用者が調理や配膳に参加するなど地域の人々が過ごしてきた日常の延長線上で生活することができる施設の形と運営が目指されていることがわかる.メインの建物内では,1階にデイケア,2階にショートステイが配置されているが,高齢者たちは境目なく生活しており,デイケア職員とショートステイ職員も分け隔てなく接することで「あたり前のくらし」が続けられるように施設全体が運用されている.
 建築のボリュームは小さく分割されており,屋根は切妻や方形の伝統的な形態となっているので,周辺の農村のスケールと違和感なく共存している.