【選評】
45 年前に開園の重度重複した知的ハンディのある子ども・成人の支援に取り組んできた社会福祉法人が隣接地へ移転改築した施設である.移転改築に際して,ケアホーム2施設を近接地に建設し,定員の一部を地域移行させることと併せて実現した.施設側で新しい施設のあり方を検討し,従来の大舎制での画一的・管理的生活を見直し,?小さな生活空間の提供,?住む場所と昼間過ごす場所の区別,?昼間の生活空間を分けてもスタッフが協力しやすい構成,?地域との交流,をコンセプトとして,設計者を選定・依頼している. 施設の外周部を取り囲む個室・ユニット化(6人×10 ユニット:児童20 名,成人40 名,いずれもショートステイを含む)の居住棟と,地域で生活する人を受け入れる場(交流・日中活動スペース)の中央棟で構成されている.地域の作業所に通所する人が30 名おり,地域から受け入れるプログラムを可能にしている.このプログラムの主旨を良く建築化していることが評価される.新施設に移転後は,個室の確保により,入居者間のトラブルが減少し,目も良く行き届き,生活のリズムもつくりやすくなったという管理者の評価もうなずける.理念をそのまま空間構成に置き換えた施設であるが,高齢者施設に比べて環境面で立ち後れたこの種の施設の意欲的提案として準賞を贈呈することとした. |